Japanische Klassiker mit Furigana
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くものゆめ
蜘蛛の夢
岡本 綺堂
Lesen Sie 蜘蛛の夢 (くものゆめ) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 147.189 Zeichen · 298 Bildschirme
家々の馬が狂って嘶いたことは、どこの家でもみな知っていた。どうしてすべての馬が一度に嘶いたのかと不思議に思っていると、あくる日になってかの者の口から異様な馬の噂を聞かされて、いずれもいよいよ不思議に感じた。そこらの畑道には大きい四足の跡が残っていた。
それから注意して窺っていると、毎晩ではないが、三日に一度か五日に一度ぐらいずつは、家々の飼馬が一度に狂い立って嘶くのである。水から出て来るらしい馬の声は普通の馬より鈍く大きい。あたかも牛と馬との啼き声をひとつにしたように響き渡って、それが二、三度も高く嘶くと、家々に繋がれているたくさんの馬はそれに応えるのか、あるいはそれを恐れるのか、一度に嘶いて狂い騒ぐのである。だんだん調べてみると、飼馬はかの怪しい馬の声を恐れるらしい。その証拠には、かの馬の声のきこえた翌日は、どこの馬もみな癇高になって物におどろき易くなる。こういうわけで、かの馬は直接になんの害もなすというではないが、家々の飼馬をおどろかすだけでもよろしくない。もうひとつには一種の好奇心もまじって、村では屈竟の若者どもが申合せて、かの怪しい馬の正体を見届けようと企てた。