Japanische Klassiker mit Furigana
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くものゆめ
蜘蛛の夢
岡本 綺堂
Lesen Sie 蜘蛛の夢 (くものゆめ) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 147.189 Zeichen · 298 Bildschirme
あるいはその時、片手は獣の毛を掴んで、片手でそれを切ったのかも知れない。あるいは確かにそれを切るという気でもなく、ただ無暗に振りまわした切っ先があたかもそれに触れたのかも知れない。茂左衛門自身もいっさい夢中であったので、何がどうしたのか、その説明に苦しむのであるが、ともかくも自分の手に怪しい獣の毛を掴んでいるのは事実である。彼はその毛を夢中でしっかり握りつめて、片手なぐりに斬って廻っていたものらしい。
「いや、なんにしてもお手柄だ。渡辺綱が鬼の腕を斬ったようなものだ。」
今夜の大将ともいうべき伊丹弥次兵衛は褒めた。
四
もうひとつ発見されたのは、半死半生で路ばたに倒れている鉄作の姿であった。これも同じ家にかつぎ込まれて人びとの介抱をうけたが、その暁け方にとうとう死んだ。
「わしが海馬に蹴殺されるのは、お福の恨みに相違ない。」と、鉄作は言った。
彼は死にぎわにおもよに向って、怖ろしい懺悔をした。
お福は海馬に踏み殺されたのではなく、実は鉄作が殺したというのである。前にもいう通り、鉄作とおらちとは従弟同士で、そのおらちがお福の家の娘に貰われていった関係から、鉄作もしばしばそこへ出入りをして、次郎兵衛の死後にはいつか後家のお福と情を通ずるようになったのである。