Japanische Klassiker mit Furigana
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くものゆめ
蜘蛛の夢
岡本 綺堂
Lesen Sie 蜘蛛の夢 (くものゆめ) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 147.189 Zeichen · 298 Bildschirme
と思ううちに、父は又もや足をふみはずして、深い穴のなかに転げ落ちた。
落ちると共に蝋燭の火は消えてしまったので、父はさっきの困難を繰り返さなければならないことになった。ようやく這いあがったものの、あたりが暗いので何が何やらよく判らない。父は又もや引っ返して蝋燭の火を取りに行った。
「もう今夜は止して、あしたのことにしたらどうです。」と、母は不安らしく言った。
しかし、かの穴には女が横たわっている。それをそのままにしては置かれないので、父は強情に提灯を照らして行ったが、かの穴はどこらにあるのか遂に見いだすことは出来なかった。暗やみで確かに判らなかったが、父が最初に落ちた穴と、二度目に落ちた穴とは、どうも同一の場所ではないらしかった。第二の穴には人間らしいものはもちろん横たわっていなかったのである。それから考えると、この草原には幾カ所かの穴が掘られているらしいが、それが昔から掘られてあるのか、近頃新しく掘られたのか、又なんのために掘られたのか、父にはちっとも判らなかった。
「あの女はどうしたろう。」
それが何分にも気にかかるので、父は根よく探して歩いたが、どうしてもそれらしいものを見いだせないばかりか、よほど注意していたにもかかわらず、父はさらに第三の穴に転げ落ちたのである。