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Japanische Klassiker mit Furigana

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くものゆめ

蜘蛛の夢

岡本 綺堂

Lesen Sie 蜘蛛の夢 (くものゆめ) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 147.189 Zeichen · 298 Bildschirme

Aozora Bunko

」と、父はまた訊いた。

「どうなすったか判りませんでしたが、ひと月ほども前に、その奥さんがふらりと尋ねておいでになりまして、なんでも今までは上総の方とかにおいでになったというお話でした。そうして、わたしの家には誰が住んでいるとお聞きになりましたから、矢橋さんという方がお住まいになっていると申しましたら、そうかといってお帰りになりました。」

「その奥さんは今どこにいるのだろう。」

「やはり同区内で、芝の片門前にいるとかいうことでした。」

「どんなふうをしていたね。」

「さあ。」と、主人は気の毒そうに言った。「ひどく見すぼらしいという程でもございませんでしたが、あんまり御都合はよくないような御様子でした。」

「奥さんは幾つぐらいだね。」

「瓦解の時はまだお若かったのですから、三十五ぐらいにおなりでしょうか。」

「子供はないのですかね。」

「お嬢さんが一人、それは上総の御親戚にあずけてあるとかいうことでした。」

「片門前はどの辺か判らないかね。」

「さき様でも隠しておいでのようでしたから、わたくしの方でも押し返しては伺いませんでした。」

それだけのことを聞いて、父は帰った。