Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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われはうたえども やぶれかぶれ

蜜のあわれ・われはうたえども やぶれかぶれ

室生 犀星

Lesen Sie 蜜のあわれ・われはうたえども やぶれかぶれ (われはうたえども やぶれかぶれ) von 室生 犀星 (むろうさいせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 45.726 Zeichen · 90 Bildschirme

Aozora Bunko

私は安堵と喜びのあまりちょっと肘を伸ばして何かを取ろうとした拍子に、明治初年頃のすり硝子の笠を持つ電気スタンドを、ごう然と、横倒しに引っかけてしまった。すり硝子の笠はとうてい見つけようもなく、二度と手にはいらない稀品でこのスタンドはこの笠一つで装われているものであったから、私は畳の上の破片をしばらく阿呆のように眺めた。節マリ子も奥テル子も起きて来ない、物音は化粧の間にも離れにもとどかなかったらしい、私は新聞紙をひろげすり硝子の破片を拾いはじめた。砕片で目にもとまらない物まで眼鏡をかけて、新聞紙の上に一つあて置いていった。ちいさな乾いた音を立てて棘立った破片がならべられ、そのあいだじゅう沢山の過去の出来事が頭があいているので、そのあいているところに浮んでは沼の上を見るように消えた。それは結局何と永い間生きていたかという冗らないことに過ぎなかった。どの人も今日までついて来た人はいない、どの人にも特にこれという今夜の私をゆすぶっている者はなかった。砕片の光は畳の目にあってそれをたしかに指先に拾ったはずなのに、指先には光るがらすはつままれていなかった。