Japanische Klassiker mit Furigana
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こうもり
蝙蝠
岡本 かの子
Lesen Sie 蝙蝠 (こうもり) von 岡本 かの子 (おかもとかのこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 11.107 Zeichen · 23 Bildschirme
「ばか――」
と叫ぶのだが、その語尾はおろおろ声の筋をひいて彼自身の敗北を示していた。そのとき子供達はもう井戸の柵のところまで立退き凱歌を挙げている。
そういう時の皆三と、今、自分に蝙蝠を譲って欲しいと女中にいわせに来た皆三とは、別人のようにお涌には感じられたが、しかし、ともかくあの変った男の子がいて、そして町内の子どもが誰も見たことのない神秘の家へ自分ひとり入って行くことは、お涌に取って女中のために蝙蝠を運んで行ってやる侠気以上の張合いであった。
お涌の先に立った女中が格子戸を開けた。眼の前にびっくりするような大きな切子燈籠が、長い紙の裾を垂らしている。その紙を透して、油燈の灯かげと玄関の瓦斯の灯かげと――この時代には東京では、電気燈はなくて瓦斯燈を使っていた――との不思議な光線のフォーカスの中に、男の子の姿が見えた。仁王立ちになっていた。男の子は、女中ばかりでなくお涌が一しょなのに驚いた様子で、片足退って身構える様子だったが、女中の説明を聞くうち、男の子はすっかり笑顔になって、自分も手伝ってきいきいいう小鳥のような動物を空いた鸚鵡籠の中へ首尾よく移した。