Japanische Klassiker mit Furigana
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ちょうのえ
蝶の絵
久生 十蘭
Lesen Sie 蝶の絵 (ちょうのえ) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 24.644 Zeichen · 49 Bildschirme
と言訳のようなことをいった。
ことさら話をむずかしくしているが、生憎と、そんな見えすいたアヤに眩まされるほど、幼稚でもない。山川にはなにか悩みがあり、それを他人にのぞかれたくないということなのだが、先まわりをして、いらざる弁解をしたりするので、ああもいいこうもいうことが、みなしどろもどろで、かえって相手に疑念を抱かせる結果になる。頭は悪いほうではなく、生活にもはっきりしたメドを持っている男なので、論理の筋道も立てかねるといった、こういうぐらつきかたは、精神の衰弱ということを除いては、説明のしようのないものであった。
「大寺を包みてわめく木の芽かなってのは、子規の句だったか。軽井沢などに住んで、半月も青葉にかこまれて暮していると、むしょうに赤い色を見たくなることがある。木の葉ばかり猛らせておいて、よく平気でいられるもんだ」
山川は庭の青葉のむらだちをながめていたが、椅子の背に頭を凭せて眼をとじると、瞼のところを指先でグリグリやりだした。
「花のない庭は、たしかに疲れるね……津村が財産税の穴埋めに、庭木を売りたいといってきているんだが、どうしようかと考えているところなんだ」