Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
ちょうのえ
蝶の絵
久生 十蘭
Lesen Sie 蝶の絵 (ちょうのえ) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 24.644 Zeichen · 49 Bildschirme
津村は意外だったらしく、
「おや、こいつは山川さんを知っているのだとみえますね」
と、うれしそうにいった。山川は苦笑しながら、
「津村君がスマトラで飼っていたのによく似ていると思ったら、やはりそうだった」
と弁解するように呟いた。
猩々の子供は山川の注意をひくつもりか、叫んだり檻をゆすぶったりして騒いでいたが、そのうちに繩っきれを首に巻きつけ、牡丹の花のような赤い口を喇叭式にあけて、クゥと啼いてみせた。
「どうしたというのでしょう。いつもは、こんなことはしないのですが」
「スマトラにいるときは、津村君の真似なんかして、面白いやつでした。あばれることもあばれますから、お世話がたいへんでしょう」
「この春まで、末の子供がかかりっきりで世話をしていましたが、それが死んでからは、どうにも手がまわりかねましてね。それに、こういうものを飼う手心もわきまえませんもので、正直なところ、荷厄介で弱っておりますよ」
「上野へおやりになったら?」
「上野へやろうと思いましたら、設備がないから、もうすこしそちらに置いてもらいたいと、こういうことでして……」
いかにも困りはてたというふうだった。