Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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きりぎりすのき

螽蟖の記

室生 犀星

Lesen Sie 螽蟖の記 (きりぎりすのき) von 室生 犀星 (むろうさいせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 3.632 Zeichen · 8 Bildschirme

Aozora Bunko

よく草むらで捕えるときに指さきに噛みつくが、轡形の大きな複雑そうな切物で一ぱいになった口でパックリとやると、指さきに血がにじむくらいの傷をつけるのである。

そういうお爺さんになったきりぎりすは、鳴いても二声か三声くらいで鳴きやんでしまう。羽根がボロになっているから音がよく出ないのだ。それからああいう羽根を震動させるにも力がいるので、そんな力がもうなくなっているのだ。夕方になると草むらの奥の方にかくれる。冷たい夜露や霜を避けるためである。草むらの底のほうは下葉が落ちつくしてがらんどうになり、宮殿の美しい緑の柱や廊下が崩れかかっている。此処の王さまだったきりぎりすは跛を曳いて、冠の珠や飾りは失せてしまい、かわぜみいろの鎧さえボロボロになっている。王さまは食べる元気さえない。王様はお得意の音楽さえもう打っちゃっておしまいになっていた。

きりぎりすは秋に、土のなかに卵を生みつけるが、生長期の例のくさむらの宮殿にいるころは、却々はしこい上に神経過敏で、僕らの足音や、くさむらが不意に不自然にうごいたりすると、鳴き歇んでしまい、鳴き止むとすぐに枝を移って前の位置を変えてしまう。