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Japanische Klassiker mit Furigana

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ちぬられたかいとう

血ぬられた懐刀

国枝 史郎

Lesen Sie 血ぬられた懐刀 (ちぬられたかいとう) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 35.586 Zeichen · 71 Bildschirme

Aozora Bunko

……鳥銃をもて、鳥銃をもて、往来の奴を撃ってやろう。象眼入の鳥銃がいい! 暹羅から献じたあいつがいい。……沈香で部屋をくゆらせろ、伽羅で部屋をくゆらせろ! 龍涎香で部屋をくゆらせろ!」

金銀で飾った脇息に倚って、秀次はのべつに喚き立てる。

座に列なっている妻妾や侍女や、近習役や茶道衆や、幸若太夫の面々は、顔を見合わせて黙っている。

たった今女が死んだのである。懐刀で自害をしたのである。で、すっかり怯かされている。その上に例の酒乱が出て、秀次の態度が兇暴になった。果たしてどうなることだろう? で、黙っているのである。

狩野永徳の唐獅子の屏風、海北友松の牡丹絵の襖、定家俊成の肉筆色紙を張り交ぜにした黒檀縁の衝立、天井は銀箔で塗られて居り、柱は珊瑚で飾られて居る。そういう華美の大広間も秀次の喚く兇暴の声で、ビリビリ顫えるばかりである。

と、秀次は眼を据えたが、一人の侍女へ視線を止めた。

「これこれ其方は何というぞ」

「妾は千浪と申します」

オドオド顫えながら答えたのは、秀次の愛妾葛葉の方が、この頃になって召しかかえた、十七の処女らしい侍女であった。

「千浪というか、よい名だよい名だ。