Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
ちぬられたかいとう
血ぬられた懐刀
国枝 史郎
Lesen Sie 血ぬられた懐刀 (ちぬられたかいとう) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 35.586 Zeichen · 71 Bildschirme
そのご心配には及びませぬよ……」
と、ここまで云って来て幸蔵主は、繊細微妙な笑い方をしたが、
「お疑いさえ晴れましたら、貴郎様には直ぐにもご帰洛、ここ聚楽第の主として、いぜんとして一ノ人関白職、どのような栄華にでも耽けられます」
この言葉が何よりも秀次の心を、強く烈しく打ったようであった。
「幸蔵主の姥!」とじっとなったが、
「伏見へ参ってお詫びさえしたら、俺は聚楽へ帰られようかな? 現在の位置に居られようかな?」
「妾をお信じなさりませ。孫七郎様の昔から、膝へ掻き上げてご介抱をした、この幸蔵主ではござりませぬか。今はお偉い関白様でも、妾の眼から見ますれば、可愛らしい和兒様でござります。そういう可愛らしい和兒様に何で嘘など申しましょう」
「行こう行こう、伏見へ行こう!」
子供のように他愛なく、こう秀次は甘えるように云った。
「俺にもお前は懐かしい。母者人のような気持がする。俺はお前の云う通りになろう」
「ようご決心なされました」
「伏見へ行こう! 明日にも行こう」
秀次は決心をしたのである。
と、幸蔵主の眼の中へ、憐愍の情がチラツイたが、直ぐにさり気なく消してしまった。