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Japanische Klassiker mit Furigana

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ちぬられたかいとう

血ぬられた懐刀

国枝 史郎

Lesen Sie 血ぬられた懐刀 (ちぬられたかいとう) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 35.586 Zeichen · 71 Bildschirme

Aozora Bunko

「もう愛しても居りませぬので?」

「愛するものはお前ばかりだ」

「いいえ、そうしてこの秋秀も」

こう云ってお紅は笑ましそうに、嬰兒の方へ顔を向けた。

「可愛い坊や、可愛い坊や……妾は幸福でござりますよ」

「自分で幸福でいる時には、他人の幸福も願うものだよ。……萩野が幸福であるように」

「可愛らしい香具師さんが居りますのね」

こう云ってお紅が足を止めたので、秋安もふと足を止めた。

そうして萩野へ眼をやったが、萩野はその前から、深く俯向いていたがために、秋安には顔が見られなかった。そうして姿は香具師風である。萩野であることが何で判ろう。で、ゆるゆると行き過ぎた。

が、お紅は気安そうに、二人の香具師の前まで行った。

「お怒りなすっては困ります。私達は幸福なのでございます。どうぞ貴郎方ご夫婦にも、祝っていただきたいと存じます。粗末な物ではござりますが、私達の志でござります。お受け取りなすって下さいまし」

云い云いお紅は簪を抜いたが、萩野の前へそっと出した。

「はい、有難う存じます」

顔を上げた萩野の眼の中に、あふれる涙が光っていた。

「お美しい貴郎様のお志、いつ迄も忘れはいたしませぬ。