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Japanische Klassiker mit Furigana

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ちまんだらしちょうぶし

血曼陀羅紙帳武士

国枝 史郎

Lesen Sie 血曼陀羅紙帳武士 (ちまんだらしちょうぶし) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 88.970 Zeichen · 176 Bildschirme

Aozora Bunko

こう思うより仕方なかった。彼には五郎蔵の乾児たちが、筵をかけた戸板を担って、あの農家の納屋の方へ行ったことを知らなかった。それは、その一団の姿が、母屋の蔭になっていて、見えなかったからである。

(どっちみち油断はならない)

こう思った。

やがて彼は、記憶に残っている、かつての夜、紙帳を釣って寝た、道了塚近くの林へ来た。

突然彼は足を止め、茫然として前方を見据えた。無数の血痕を附けた、紛れもない自分の紙帳が、林の中の空地に釣られてあるではないか。紙帳は、主人に邂逅ったのを喜ぶかのように、落葉樹や常磐木に包まれながら、左門の方へ、長方形の、長い方の面を向け、微風に、その面へ小皺を作り、笑った。

左門は、紙帳が、どうしてこんなところへ来ているのか、誰が紙帳を釣ったのか? と、一瞬間不思議に思ったが、それよりも、恋していると云ってもよいほどに、探し求めていた巣を――紙帳を、発見したことの喜びに、肌に汗がにじむほどであった。

彼は、何をおいても、紙帳の中へはいり、この平和を失った、イライラしている心持ちを鎮めたいと思った。

彼は、声をさえ発し、紙帳へ走り寄った。