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Japanische Klassiker mit Furigana

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ちまんだらしちょうぶし

血曼陀羅紙帳武士

国枝 史郎

Lesen Sie 血曼陀羅紙帳武士 (ちまんだらしちょうぶし) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 88.970 Zeichen · 176 Bildschirme

Aozora Bunko

「さよう左門でござる。……その際は、お騒がせいたしましたな」

と、左門は、削けた、蒼白い頬へ皺を畳み煤色の唇を幽かにほころばせて微笑した。

(殺人者の左門と知ったら、怖がることであろうぞ)と思ったからである。

事実、栞は、その武士が、自分の屋敷で人を殺した、五味左門だと知ると、慄然とした。

(どうしよう?)

しかし、次の瞬間には、

(妾は、この人に悪いことをしていないのだから、殺される気遣いはない)と、初心の娘らしい心から、そう思った。

それに、自分の寝言に驚いて、紙帳の隅へケシ飛んで行った左門の様子が、いかにも笑止だったので、(この人、それほど悪い人でないに相違ない)

と、思った。

栞と左門とは、しばらく見詰め合っていた。

「一人のお侍様をお殺しになり、もう一人のお侍様の足を斬り落としなさいましたのね。……でも、よくよくのことがなければ、あのような惨酷いことは……」

と、ややあってから栞は考え深そうな様子で云った。

「きっとあの方達、あなた様に、よくよく悪いことを……」

「そうでもござらぬ」

「いいえ、きっとそうだと存じますわ。でも、あなた様というお方、気の弱い、臆病なお方でございますものねえ」