Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ちまんだらしちょうぶし

血曼陀羅紙帳武士

国枝 史郎

Lesen Sie 血曼陀羅紙帳武士 (ちまんだらしちょうぶし) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 88.970 Zeichen · 176 Bildschirme

Aozora Bunko

と、突っ立った。

その部屋は十畳ほどの広さであったが、その中央に、紙帳が釣ってあり、燈火が、紙帳の中に引き込まれてあるかして、紙帳は、内側から橙黄色に明るんで見え、一個の人影が、その面に、朦朧と映っていた。総髪で、髷を太く結んでいるらしい。鼻は高いらしい。全身は痩せているらしい。そういう武士が、刀を鑑定ているらしく、刀身が、武士の膝の辺りから、斜めに眼の辺りへまで差し出されていた。――そういう人影が映っているのであった。それだけでも、四人の武士たちにとっては、意外のことだったのに、紙帳の面に、あるいは蜒々と、あるいはベットリと、あるいは斑々と、または飛沫のように、何物か描かれてあった。その色の気味悪さというものは! 黒に似て黒でなく、褐色に似て褐色でなく、人間の血が、月日によって古びた色! それに相違なかった。描かれてある模様は? 少なくも毛筆で描かれた物ではなかった。もし空想を許されるなら、何者か紙帳の中で屠腹し、腸を掴み出し、投げ付けたのが紙帳へ中り、それが蜒り、それが飛び、瞬時にして描出したような模様であった。一所にベットリと、大きく、楕円形に、血痕が附いている。