Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ちまんだらしちょうぶし

血曼陀羅紙帳武士

国枝 史郎

Lesen Sie 血曼陀羅紙帳武士 (ちまんだらしちょうぶし) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 88.970 Zeichen · 176 Bildschirme

Aozora Bunko

と、お浦は、すでに天眼になりはじめた瞳、小鼻がにわかに落ちて、細く険しくなった鼻、刳られたように痩せ落ちた顳や頬、そういう輪廓を、黒い焔のような乱髪で縁取り、さながら、般若の能面を、黒ビロードで額縁したような顔を、ヒタと左門へ差し向けたが、

「おおそれなら、頼母様のお命を! オ、お助けくださりませ! ……五郎蔵の乾児大勢に、ああ取り囲まれましては、所詮助からぬあのお方のお命! ……お助けくださらば海山のご恩! ……あなた様への怨みも消えまする! ……左門様アーッ」

「左門様アーッ」

と、するとこの時、もがいて、ようやく、左門の手から遁がれた栞が叫んだ。

「妾からもお願いいたしまする! ……頼母様のお命お助けくださりませ! ……、聞けば頼母様、五郎蔵一味大勢の者に取り囲まれ、ご危難とか! ……おおおお、あの物音が、頼母様討とうの物音とか! ……掛け代えのない大切の頼母様、オ、お助けくださりませーッ」

乱れた衣裳、髻千切れた髪、蒼白な顔、嵐に揉まれる牡丹桜とでも云おうか、友禅の小袖の袖口からは、緋の襲着がこぼれ、半分解けた帯の間からは、身悶えするごとに、鴇色の帯揚げがはみ出し、髪へ掛けた鹿の子の布が、蝋細工のような耳朶のあたりで揺れている態など、傷ましく哀れではあったが、尚美しさ艶かしさを失わない女の姿であった