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Japanische Klassiker mit Furigana

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ちまんだらしちょうぶし

血曼陀羅紙帳武士

国枝 史郎

Lesen Sie 血曼陀羅紙帳武士 (ちまんだらしちょうぶし) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 88.970 Zeichen · 176 Bildschirme

Aozora Bunko

そうして道了塚の上では、穴倉の地獄の光景を見たためか、神霊ある天国の剣を失ったためか、ふたたび狂人となった薪左衛門が、南無妙法蓮華経と刻ってある碑の周囲を、蟇のように這い廻りながら、

「栞よーッ、来栖勘兵衛めが、伊丹東十郎に食い殺されたぞよーッ、栞よーッ」

と、叫んでいた。

その栞は、林の中で、紙帳を前にし、頼母に介抱されていた。栞を介えている頼母の姿は、数ヵ所の浅傷と、敵の返り血とで、蘇芳でも浴びたように見えてい、手足には、極度の疲労から来た戦慄が起こっていた。

(敵は退けた。恋人は助けた!)

しかし彼は、それをしたのは自分ではなくて、大半は五味左門であることを思った。

(その上私は、あやうく竹で突き殺されるところを、左門に助けられた)

塑像のように縋り合っている二人の上へ降りかかっているものは、なんどりとした春陽であり、戦声が絶えたので啼きはじめた小鳥の声であり、微風に散る桜の花であった。そうして二人の周囲に散在る物といえば、五郎蔵の乾児たちの死骸であった。

苦行者か殺人鬼か

頼母は、ふと、眼を上げて見た。左門が、乾児たちの死骸の中に立ち、もう血粘をぬぐった刀を鞘に納め、衣紋をととのえ、腕組みをし、紙帳を見ていた。