Japanische Klassiker mit Furigana
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ちまんだらしちょうぶし
血曼陀羅紙帳武士
国枝 史郎
Lesen Sie 血曼陀羅紙帳武士 (ちまんだらしちょうぶし) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 88.970 Zeichen · 176 Bildschirme
その姿は、たった今しがたまで、殺戮をほしいままにしていた人間などとは見えなかった。顔色はいつもどおり蒼白かったが、いつも煤色の唇は赤くさえあった。目立つのはその眼で、それには何かを悲しんででもいるかのような色があった。何を悲しんでいるのであろう? 頼母は左門の視線が紙帳に食い入っているのを見、自分も紙帳を見た。
紙帳は、血によって、天井も四方の側面も、ことごとく彩色られていた。そうして、古い血痕と、新らしい血痕とによって、怪奇な模様を染め出していた。すなわち、塔のような形が描かれてい、堂のような形が描かれてい、宝珠のような形が描かれてい、羅漢のような姿が描かれてい、仏のような姿が描かれてい、卍のような形が描かれているのであった。
それは、諸法具足を象徴した曼陀羅の模様であった。血で描かれた曼陀羅紙帳は、諸所切り裂かれ、いまだに血をしたたらせ、ノロノロとしたたる血の筋で、尚、如来の姿や伽藍の形を描いていた。
(諸法を具足すれば円満の境地であり、円満の境地は、一切無差別、平等の境地であり、この境地へ悟入った人間には、不平も不安も不満もない。そういう境地を模様で現わしたものが曼陀羅だ。