Japanische Klassiker mit Furigana
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ちまんだらしちょうぶし
血曼陀羅紙帳武士
国枝 史郎
Lesen Sie 血曼陀羅紙帳武士 (ちまんだらしちょうぶし) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 88.970 Zeichen · 176 Bildschirme
しかし、その向こうには、小暗い林が続いていた。でも、その林が途切れれば、また、陽光の射した明るい箇所があるに相違ない。でも、それへは、また、暗い林がつづく筈である。光明と暗黒の道程! それは人生の道程でもある。光明と暗黒の道程を辿って行く左門の姿は、俯向いていて寂しそうで、人生の苦行者のように見えた。
(父上のご遺志だ。わしはどうあろうと、どこまでも、奪われた天国の剣を探して、手に入れなければならない)
こう思って歩いて行く左門であった。
しかしその天国の剣は、道了塚の穴倉へ落ちて、ふたたび地上へは現われない筈である。天国が地下へ埋もれたことを知っておるものは、一人もないのであるから。たった一人知っている薪左衛門もふたたび発狂して、一切意識を失ってしまったのであるから。
絶対にとげることの出来ない希望を持って、永久諸国を流浪するであろう左門の姿は、だんだん小さくなって行った。
山査子の藪の中から、その左門の姿を恐ろしそうに見送っているのは二人の武士であった。片眼をつぶされた紋太郎と、片耳を落とされた角右衛門とであった。
「こう醜い不具者にされましては、将来生きて行く気もいたしませぬ」