Japanische Klassiker mit Furigana
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ちまんだらしちょうぶし
血曼陀羅紙帳武士
国枝 史郎
Lesen Sie 血曼陀羅紙帳武士 (ちまんだらしちょうぶし) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 88.970 Zeichen · 176 Bildschirme
――その左衛門が、自殺の直後、忰左門へ宛てて認めた遺書には、万難を排して天国を探し出し、伊東忠右衛門一族に示せよとあった。父の敵として忠右衛門を討ち取り、父の形見として紙帳を乞い受け、故郷を出た左門が、日本の津々浦々を巡っているのも、天国を探し出そうためであった。その天国がここにあるのである。
「信じられない!」
彼はまた魘されたような声で云った。そうであろう、蜘蛛の網にかかった蝶のように、紙帳の中へはいって来た、名さえ、素姓さえ知らぬ女が、天下の至宝、剣の王たる、天国を持っていたのであるから。
「……しかし、もしや、これが本当に天国なら……」
それでいて彼は、早速には、刀箱の蓋を開けようとはしなかった。開けて、中身を取り出してみて、それが贋物であると証明された時の失望! それを思うと、手が出せないのであった。まさか! と思いながら、もし天国であったなら、どんなに嬉しかろう! この一縷の希望を持って、左門は、尚も刀箱を見据えているのであった。
「これが天国なら、この天国で、伊東頼母めを返り討ちに!」
また、呻くように云った。
恩讐壁一重
彼は、故郷からの音信で、忠右衛門の忰の頼母が、自分を父の敵だと云い、復讐の旅へ出たということを知った。