Japanische Klassiker mit Furigana
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ちまんだらしちょうぶし
血曼陀羅紙帳武士
国枝 史郎
Lesen Sie 血曼陀羅紙帳武士 (ちまんだらしちょうぶし) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 88.970 Zeichen · 176 Bildschirme
彼は冷笑し、(討ちに来るがよい、返り討ちにしてやるばかりだ)とその時思った。そうして現在では、天国を求める旅のついでに、こっちから頼母を探し出し、討ち取ろうと心掛けているのであった。
正気に甦ると見えて、お浦が動き出した。肉附きのよい、ムッチリとした腕を、二本ながら、夜具から脱き、敷き布団の外へ抛り出した。
と、左門は、刀箱を掴んだが、素早く、自分の背後へ隠し、その手で、膝脇の自分の刀を取り上げた。女が正気に返り、騒ぎ出したら、一討ちにするつもりらしい。武道で鍛えあげた彼の体は、脂肪も贅肉も取れて、痩せすぎるほどに痩せていた。それでいて硬くはなく、撓いそうなほどにも軟らかく見えた。そういう彼が、左の手に刀を持ち、それを畳の上へ突き及び腰をし、長く頸を延ばし、上からお浦を覗き込んでいる姿は、昆虫――蜘蛛が、それを見守っているようであった。紙帳の中へ引き入れられてある行燈の、薄黄いろい光は、そういう男女を照らしていたが、男女を蔽うている紙帳をも照らしていた。内部から見たこの紙帳の気味悪さ! 血蜘蛛の胴体は、厚味を持って、紙帳の面に張り付いていた。左衛門が投げ付けた腸の、皮や肉が、張り付いたままで凝結ったからであった。