Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ちまんだらしちょうぶし

血曼陀羅紙帳武士

国枝 史郎

Lesen Sie 血曼陀羅紙帳武士 (ちまんだらしちょうぶし) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 88.970 Zeichen · 176 Bildschirme

Aozora Bunko

「よいではないか」と、角右衛門が、抑えるような手つきをし、

「主人がどうあろうと、我らにとっては関わぬことじゃ。泊めてくれて、ご馳走してくれて、出立の際には草鞋銭までくれる。いやもう行き届いた待遇。それをただ我らは、受けておればよい。我らにとっては大旦那よ。主人の秘密など、剖かぬこと剖かぬこと」

「そうともそうとも」と合い槌を打ったのは、山口という武士で、「その日その日を食いつなぐだけでも大わらわの我ら、他人の秘密事など、どうでもよかよか。いや全くこの頃の世間、世智辛くなったぞ。百姓や町人めら、なかなか我らの威嚇や弁口に、乗らぬようになったからのう」

「以前はよかった」と感慨深く云ったのは、例の望月角右衛門という武士で、「百姓も町人も、今ほど浪人慣れていず、威嚇などにも乗りやすく、よく金を出してくれたものよ。それに第一、浪人の気組が違っていた。今の田舎稼ぎの浪人など、自分の方からビクビクし、怖々強請りかけているが、以前の浪人とくると、抜き身の槍や薙刀を立て、十人十五人と塊まって、豪農だの、郷士だのの屋敷へ押しかけて行き、多額の金子を、申し受けたものよ」