Japanische Klassiker mit Furigana
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こうじん
行人
Lesen Sie 行人 (こうじん) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 224.801 Zeichen · 452 Bildschirme
「あの女」は器量と芸を売る御蔭で、何とかいう芸者屋の娘分になって家のものから大事がられていた。それを売る事ができなくなった今でも、やはり今まで通り宅のものから大事がられるだろうか。もし彼らの待遇が、あの女の病気と共にだんだん軽薄に変って行くなら、毒悪な病と苦戦するあの女の心はどのくらい心細いだろう。どうせ芸妓屋の娘分になるくらいだから、生みの親は身分のあるものでないにきまっている。経済上の余裕がなければ、どう心配したって役には立つまい。
自分はこんな事も考えた。便所から帰った三沢に「あの女の本当の親はあるのか知ってるか」と尋ねて見た。
二十四
「あの女」の本当の母というのを、三沢はたった一遍見た事があると語った。
「それもほんの後姿だけさ」と彼はわざわざ断った。
その母というのは自分の想像通、あまり楽な身分の人ではなかったらしい。やっとの思いでさっぱりした身装をして出て来るように見えた。たまに来てもさも気兼らしくこそこそと来ていつの間にか、また梯子段を下りて人に気のつかないように帰って行くのだそうである。
「いくら親でも、ああなると遠慮ができるんだね」