Japanische Klassiker mit Furigana
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まちはふるさと
街はふるさと
Lesen Sie 街はふるさと (まちはふるさと) von Sakaguchi Ango (坂口 安吾) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 193.435 Zeichen · 389 Bildschirme
恨みを述べるわけじゃア、ないですよ。アベコベなんだ。その一夜が、転機なんだよ。万感コモゴモの次に、ホンゼンとして心機一転。それほどでもないが、なんとかしたと思いたまえ。ここ一週間、ミミズみたいに、どこか暗いところを這いずりまわり、のたくりまわってきたがね。実はね。今日は又、君の一筆が所望なんだ」
彼は益々明るく笑いたてて、
「実はね。梶せつ子の新社へ一介のサラリーマンとして採用してもらいたいんだ。恨みも迷いも、すてたんだ。それを捨てるのに、一週間、かかったんだよ。ねえ、君。考えてみれば、ほかに、オレみたいな老骨を拾ってくれる会社はないじゃないか。誇りなんぞ、持ってやしませんよ。生きるには、食わねばならず、食うには、どこかで拾ってもらわざるを得なくなったからですよ。枝葉末節を語ればキリがないが、荒筋はそれだけさ」
「働くポストは」
「門番でも、事務員でも、編集でも。長と名のつくものを望まないよ。女房に逃げられた男が、ふった情婦の店で働くのに御慈悲の長は所を得ていませんよ。まア、当分、考えることを探すわけさ。もし人生に考える価値のあるものが在ったとしたらね」