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Japanische Klassiker mit Furigana

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しょうとつしんり

衝突心理

夢野 久作

Lesen Sie 衝突心理 (しょうとつしんり) von 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 7.041 Zeichen · 14 Bildschirme

Aozora Bunko

蟹口夫婦の間に子供はなかったが、蟹口は植木物が好きで、狭い庭に縁日から買って来た朝顔や、茄子や、トマトの鉢を並べ、店先にも見事な朝顔や、菊を飾ったりしたので、それが目印になって煙草店が益々繁昌して行くらしかった。戸若は一度、そのツル子に会って今までの礼を云いたい云いたいと思っていたが、忙しいのでツイ機会を失していた。

ところが一昨昭和七年の夏、蟹口は突然に二三日の予定で神戸に行く事になった。何でも千番トラックの主人の命令で、神戸へ行って、中古のトラックを二台仕入れて来る……という話であったが、出かける時に、

「戸若君。済まんが俺の留守中に、植木鉢へ水を遣ってくれんか。朝はツル子が遣るが、午後になると店からドウしても手が離されんけに……な。頼んますど……」

と呉々も云いおいて行った。

戸若は喜んで引受けた。翌る日は午後から半日、暇を貰って頼まれた通りに蟹口の処へ来て、ツル子に色々と永々の礼を述べた。それから植木鉢の世話をツル子の指図通りにしたが、その時に、お互いに魔がさしたとでも云おうか。ツル子が無理に引止めて戸若に夕飯の御馳走をしたのがキッカケとなって、二人は退引ならぬところへ陥込んでしまった。