Japanische Klassiker mit Furigana
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せいこのしじん
西湖の屍人
海野 十三
Lesen Sie 西湖の屍人 (せいこのしじん) von 海野 十三 (うんのじゅうざ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 19.487 Zeichen · 39 Bildschirme
「こっちで騒ぎを大きくしたようなものさ」
「ボラギノール一壜で、君があんなに器用な真似をするとは思わなかった」
「君があの壜を拾ってくれなかったら、この事件は今頃どうなっていたか、しれやしない」帆村は、大きく溜息をついて、そこに脱ぎすててある中国医師の服装の上に目を落とした。
「だが孫火庭が呼びに来てくれるまでは、気が気じゃなかった」
「あの風変りな新聞広告が、きいたのだね」
「ふふ」なにを思いだしたのか、帆村が笑った。久振りに見る彼の笑顔だった。
「漢青年は、うまく脱走したかなァ」
「大抵大丈夫だろう」
帆村は大して心配していない様子だった。
「それにしても、どうして孫火庭は、漢青年に背いたんだ」
「大きな金と名誉とを握らされたんだよ」彼は嘔出すように云った。「中華民国の崩壊をなんとかして支えようという某要人が、孫を買収したのだ。王妖順はその要人の一味だ。もし漢青年が今日のように切迫した時局を知ったなら、彼は立ち処に故山に帰り、揚子江と銭塘口との下流一帯を糾合して、一千年前の呉の王国を興したことだろう。それは中国の心臓を漢青年に握られるようなものだ。だから当分のうち時局の切迫を漢青年に報せずに置くことが、必要だったのだ。