Japanische Klassiker mit Furigana
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スペインけんのいえ
西班牙犬の家
佐藤 春夫
Lesen Sie 西班牙犬の家 (スペインけんのいえ) von 佐藤 春夫 (さとうはるお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 7.131 Zeichen · 15 Bildschirme
西班牙犬はよろこんで私の手のひらを舐めた。
それにしても一体、この家の主人というのは何者なのであろう。何処へ行ったのであろう。直ぐ帰るだろうか知ら。入って見るとさすがに気が咎めた。それで入ったことは入ったが、私はしばらくはあの石の大きな水盤のところで佇立したままでいた。その水盤はやっぱり外から見た通りで、高さは膝まで位しかなかった。ふちの厚さは二寸位で、そのふちへもってって、また細い溝が三方にある。こぼれる水はそこを流れて、水盤の外がわをつとうてこぼれてしまうのである。なるほど、こうした地勢では、こうした水の引き方も可能なわけである。この家では必ずこれを日常の飲み水にしているのではなかろうか。どうもただの装飾ではないと思う。
一体この家はこの部屋一つきりで何もかもの部屋を兼ねているようだ。椅子が皆で一つ……二つ……三つきりしかない。水盤の傍と、ファイヤプレイスとそれに卓に面してと各一つずつ。どれもただ腰を掛けられるというだけに造られて、別に手のこんだところはどこにもない。見廻しているうちに私はだんだんと大胆になって来た。気がつくとこの静かな家の脈搏のように時計が分秒を刻む音がしている。