Japanische Klassiker mit Furigana
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おやというにじ
親という二字
Lesen Sie 親という二字 (おやというにじ) von Dazai Osamu (太宰 治) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 3.004 Zeichen · 7 Bildschirme
「旦那。」
れいの爺さんが来ている。
私が窓口へ行って払戻し用紙をもらおうとしたら、
「きょうは、うけ出しの紙は要らないんでごいす。入金でごいす。」
と言って拾円紙幣のかなりの束を見せ、
「娘の保険がさがりまして、やっぱり娘の名儀でこんにち入金のつもりでごいす。」
「それは結構でした。きょうは、僕のほうが、うけ出しなんです。」
甚だ妙な成り行きであった。やがて二人の用事はすんだが、私が現金支払いの窓口で手渡された札束は、何の事は無い、たったいま爺さんの入金した札束そのものであったので、なんだかひどく爺さんにすまないような気がした。
そうしてそれを或る人に手渡す時にも、竹内トキさんの保険金でウィスキイを買うような、へんな錯覚を私は感じた。
数日後、ウィスキイは私の部屋の押入れに運び込まれ、私は女房に向って、
「このウィスキイにはね、二十六歳の処女のいのちが溶け込んでいるんだよ。これを飲むと、僕の小説にもめっきり艶っぽさが出て来るという事になるかも知れない。」
と言い、そもそも郵便局で無筆のあわれな爺さんに逢った事のはじめから、こまかに語り起すと、女房は半分も聞かぬうちに、