Japanische Klassiker mit Furigana
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おやどりことり
親鳥子鳥
佐々木 邦
Lesen Sie 親鳥子鳥 (おやどりことり) von 佐々木 邦 (ささきくに) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 88.828 Zeichen · 181 Bildschirme
と僕が御意を伺うと、絹子さんは、
「神田の錦町はここから近いでしょう?」
と言い出した。
「電車で行けば直ぐですが、何ですか?」
「でも叔父さんに叱られますわ」
「隆鼻術ですね?」
「前を通って見る丈けなら宜いでしょう?」
「ええ。寄らなければ構いません」
と僕は先方に着くまでに成算があった。
しかし電車が込んでいて碌々話せなかったから、僕は錦町で下りると直ぐに、
「絹子さん、先刻新聞記者があなたの写真を撮ったでしょう? 何故だかお分りですか?」
と切り出した。
「真正に新聞記者でしょうか?」
「新聞記者でなくても同じことです」
「分りませんわ」
「あれは綺麗な人の来るのを待っていたんですよ」
「あら、厭やだ。源太郎さんまでそんなことを仰有るのね」
と言ったが、絹子さんは満更悪くもないようだった。
話し話し探して歩いたが、絹子さんの註文の東洋隆鼻院は容易に見つからなかった。
「越したんでしょう、もう」
と僕は寧ろ幸いとした。しかし絹子さんは、
「今月の雑誌にも出ていましたわ。まさかこの汚い露地の奥じゃありますまいね」
と諦め兼ねた。
「僕、探検して来ます」
「私も行くわ」
と二人で入ったら、その出外れの三軒長屋の真中に看板がかかっていた。