Japanische Klassiker mit Furigana
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おやどりことり
親鳥子鳥
佐々木 邦
Lesen Sie 親鳥子鳥 (おやどりことり) von 佐々木 邦 (ささきくに) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 88.828 Zeichen · 181 Bildschirme
しかし政府がもっと高等学校を拵えて入学難を緩和しない限り、受験生は苦しさの余り、自然斯ういう浅ましい料簡になる。
「源太郎や、お前大丈夫かね?」
とお母さんが始終念を押す。
「駄目だって言っているじゃありませんか?」
と僕は癇癪を起す。確信のないところへ期待されては荷が重過ぎる。文一君も入学試験のことを言われると直ぐ怒るそうだ。
四谷の芳夫さんは一度家庭教師に頼まれたのを好い口実にして時々やって来る。しかし元来数学はお得意でない上に絹子さんのことばかり考えているから、幾何でも代数でも実に手間がかかる。
「今日はもうこれで宜いですよ」
と僕は一二題で御免蒙る。
「然うだろうね。この辺のところはこれさえ出来れば残余は自然に分る筈だから」
と芳夫さんは決して長追いをしない。直ぐに茶の間へ行ってしまう。その折絹子さんは屹度茶の間で新聞を読んでいるから不思議だ。芳夫さんの手の明くのを待っているのである。若し二三日見えないと、
「源太郎さん、あなたそんなにラジオなんか弄ってばかりいて大丈夫?」
「もう駄目と覚悟をしているんですよ」
「そんなことはありませんわ。英語が好いんですから有望ですって芳夫さんが仰有っていましたよ。