Japanische Klassiker mit Furigana
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おやどりことり
親鳥子鳥
佐々木 邦
Lesen Sie 親鳥子鳥 (おやどりことり) von 佐々木 邦 (ささきくに) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 88.828 Zeichen · 181 Bildschirme
その都度チョコチョコ駈け出されては遣り切れない。
電車に乗って二町場と走らない中に久作さんは、
「電車は郷里にもあるだあから驚かにゃあだ」
と僕に断った。驚かなくとも宜いから黙っていて貰いたい。殊に僕と二人きりになったら、言葉も余所行きをやめてしまった。
泉岳寺を見物した時も、僕に散々説明をさせた後、
「義士の墓がある丈けのこんだから驚かにゃあだ。郷里の東光寺の方が余っ程大い。鳩も余計いる」
と言った。鳩なんかを目安にされては案内者も張合が抜ける。斯う驚かない驚かないと一々断られると、此方は意地にも驚かしてやりたくなる。
僕は新橋で下りて銀座を見せることにした。尾張町まで歩いた時、
「何うです? 賑かでしょう?」
と感想を伺った。
「大勢いるから賑かには相違にゃあだが、俺は人を恐れにゃあだ」
と来た。これは建築物を利用するに限ると思って、僕は久作さんを松屋へ連れ込んだ。二階三階四階と引き廻して竟に屋上へ出た折、
「随分高いでしょう?」
と言って顧みた。
「裏の坊主山の方が高いだに」
と答えて、久作さんは更に驚かなかった。尤も驚かない覚悟をして来ているのだから仕方がない。