Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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うたせてやらぬかたきうち

討たせてやらぬ敵討

長谷川 伸

Lesen Sie 討たせてやらぬ敵討 (うたせてやらぬかたきうち) von 長谷川 伸 (はせがわしん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 10.752 Zeichen · 22 Bildschirme

Aozora Bunko

と記しておいた。

加賀の女は宮内に未練があった、人をよこして金や品物を届けた、宮内も会津神指に居を定めてから、二度小松へ旅をした。

寛永二十一年十二月十六日正保と年号が改められたその翌年、会津の春は日ごとに色めいてきた三月十五日の昼、越後街道に現れたのは、生島慎九郎とその妻きいの両人であった。主家が衰えて永の暇となった夫婦は、仕官の途を求め歩いたが、武士の失業者が夥しいその頃だけに、未だに衣食の資を掴めず、夫婦の服装にも顔の色にも、苦労の垢や皺が多かった。

夫婦は「当所に加藤家浪人弓削田宮内住居」の札を見つけて驚喜した、雨風に曝されて、札は心許なく古びていたが、夫婦は意気込んで、ところの者に尋ねた。

「あい、その人なら、直ぐ近くじゃ、こなた知合いか、それなら案内してあげましょうに」

「いやいやそれには及びませぬ、してその人は家内多勢かな」

「宮内さんただ一人さ、外に爺さんが一人いるだけですよ」

舅の仇、父の仇は一人住居だ、まず討ちとるのに困難はない、殊に宮内は非力者だ――夫婦は顔を見合せて、久振りに笑った。

「ちと仔細あって、宮内殿に我々夫婦がきたということは知らせたくない。