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Japanische Klassiker mit Furigana

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ちゅうもんちょう

註文帳

泉 鏡花

Lesen Sie 註文帳 (ちゅうもんちょう) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 33.770 Zeichen · 67 Bildschirme

Aozora Bunko

その遊女は本名お縫さんと謂っての、御大身じゃあなかったそうじゃが、歴とした旗本のお嬢さんで、お邸は番町辺。

何でも徳川様瓦解の時分に、父様の方は上野へ入んなすって、お前、お嬢さんが可哀そうにお邸の前へ茣蓙を敷いて、蒔絵の重箱だの、お雛様だの、錦絵だのを売ってござった、そこへ通りかかって両方で見初めたという悪縁じゃ。男の方は長州藩の若侍。

それが物変り星移りの、講釈のいいぐさじゃあないが、有為転変、芳原でめぐり合、という深い交情であったげな。

牛込見附で、仲間の乱暴者を一人、内職を届けた帰りがけに、もんどりを打たせたという手利なお嬢さんじや、廓でも一時四辺を払ったというのが、思い込んで剃刀で突いた奴。」

「ほい。」

十

「男はまるで油断なり、万に一つも助かる生命じゃあなかったろうに、御運かの。遊女は気がせいたか、少し狙がはずれた処へ、その胸に伏せて、うつむいていなすった、鏡で、かちりとその、剃刀の刃が留まったとの。

私はどちらがどうとも謂わぬ。遊女の贔屓をするのじゃあないけれど、思詰めたほどの事なら、遂げさしてやりたかったわ、それだけ心得のある婦人が、仕損じは、まあ、どうじゃ。