Japanische Klassiker mit Furigana
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しのげんり
詩の原理
萩原 朔太郎
Lesen Sie 詩の原理 (しのげんり) von 萩原 朔太郎 (はぎわらさくたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 153.641 Zeichen · 305 Bildschirme
例えば前の多くの場合で、神話が科学よりも詩的であり、月光の夜が白昼よりも詩的であり、奈良が大阪よりも詩的であり、恋愛が所帯暮しよりも詩的であり、秀吉が家康よりも詩的であるとして、一般の人々に定見されてるのはどういうわけか。
先ず神話と科学を考えてみよ。昔の人は月を見て、嫦娥やダイヤナのような美人が住んでる、天界の理想国を想像していた。然るに今日の天文学は、月が死滅の世界であって、暗澹たる土塊にすぎないことを解明している。そしてこの科学の知識は、月に対する吾人の詩情を幻滅させる。なぜならそこには、自由な空想や聯想を呼び起すべき、豊富な感情としての意味がなく、冷たい知性の意味しか感じられないからだ。一般に夜の景色や霧のかかった風景やが、白昼のそれに比して詩的に感じられる理由も、またこれと同じである。即ち前の者には空想と聯想の自由があり、主観的なる感情を強く呼び起すのに、白昼に照らし出されたものには、そうした感情の意味がなく、反対に知的な認識を強制し、レアリスチックな観察をさせるからである。奈良と大阪との関係もこれに同じで、前者には歴史的の懐古があるのに、後者にはその感情の意味がなく、実務的な商業都市で、すべてが知性の計算に属するからだ。