Japanische Klassiker mit Furigana
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たににうたうおんな
谷にうたう女
小川 未明
Lesen Sie 谷にうたう女 (たににうたうおんな) von 小川 未明 (おがわみめい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 3.202 Zeichen · 7 Bildschirme
」といわれました。
やがて、蓄音機のうたい出したのは、
「ねんねん、ころころ、ねんねしな。
坊やは、いい子だ、ねんねしな。
…………」
という、子守唄でありました。
おかよは目に涙をうかべて、きいていました。哀れな、子供を失って気の狂った、おきぬのことを思い出したからです。
「どう? あんたが泣くくらいだから、やはりいいんだわ。この声楽家は、有名な方なのよ。」
「いえ、お嬢さま、どうか、今年の夏、私の生まれた村へいらしてください。谷にはべにゆりが咲いていますし、あの悲しい子守唄をおきかせしたいのでございますから。」
おかよは哀れなおきぬの話をしてきかせたのでした。
都会で、はなやかな生活を送っていらっしゃるお嬢さまは、高い窓からかなたの空をながめて、遠い、知らぬ海の向こうの国々のことなどを、さまざまに想像して、悲しんだり、あこがれたりしていられたのですが、いま、おかよの話をきくと、このところへは、ほんとうにいってみる気になりました。朝、汽車に身を委せればその日の中にもおかよの村へ着くのだから。
また、月日は、足音をたてずに、とっとと過ぎてしまいました。
地球の上は、やわらかな風と緑の葉に被われています。