Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ひょう

豹

山本 周五郎

Lesen Sie 豹 (ひょう) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 6.656 Zeichen · 14 Bildschirme

Aozora Bunko

「うちは安心ですのよ」

純子は平然と、

「正三さんがいますから、どうぞ私のところはおかまいなく」

和田はちらと正三に横目をくれると、何やら口のうちで呟きながら、むっつりと庭を向うへと歩み去った。

「気の毒ですよ、あんなにおっしゃっては」

「何が」

「せっかく好意をもって来てくれるのに、あれじゃあ曲がなさすぎますよ」

純子はきつい眼で正三を睨んだ。

「あなたは黙っていらっしゃい、あんな男に同情したりして、あなたにはまだ分らないのよ――」

「何が分らないんです」

「何もかもよ」

純子は手の書物をつと卓子の上へ置いて、じっと空を覓めていたが、ふいに正三のほうへ向いて云った。

「正三さん、あなた兄さんがなぜ自殺なすったか御存じですか」

「嫂さんは――」

「ほほ」

純子は声だけで笑って、身を反らせながら大胆に足を組み、圧倒するような調子で云った。

「兄さんはねえ、家政婦と問題を起したんです、ポルチュギスで、綺麗なひとだったそうです、名は何といったかしら――忘れてしまったわ、年は二十五で小柄な、日本風の温和しい娘だという話でした」

正三はそのまま信じていいか悪いか、取付ようのない気持だった。