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Japanische Klassiker mit Furigana

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ひんみんくらぶ

貧民倶楽部

泉 鏡花

Lesen Sie 貧民倶楽部 (ひんみんくらぶ) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 55.333 Zeichen · 111 Bildschirme

Aozora Bunko

お住居は? せめてお名だけ。」と余儀無く問えば、打笑いて、

「私の家は日本中サと謂えば豪気だが、どこと定って屋根は持たぬ。差当り四谷近辺の橋の下で犬と寝ている女乞食。」「え!」「丹と申す、お転婆さ。」

婦人慈善会は三日続きの予定なりし、初日よりあやかしがつき二日目の早朝、六六館へ出懸くる途次、綾子は内談の条ありて在原夫人を市兵衛町の館に見舞えり。

客室に通りて待たるれば、侍女に襖を開かせ、貞子の方静々と立出らる。

「これは早朝から。」「イエ、どう致して。」「好いお天気で。」と挨拶終りぬ。

綾子、袱紗包を開きて、昨日の毎晩新聞を取出し、「時に。」と開直りて、「ま、これを。」と仔細ありげ。

「何でございます。」と眼を注ぐ、三枚目に左のごとき雑報あり。

○今朝麻布狸穴にて、疾病、飢餓、交々起り、往来に卒倒して死に垂々とせる屑屋あり。交番も程遠く近隣に人無ければ、誰ありて介抱するもの無く、一杯の水を恵むもあらず、屑屋は人心地も無く呻きおりぬ。折から二頭立の馬車を駆りて、ここを過ぐるものあり。これ慈善会に赴かんとする在原貞子の途次なりき。しかるに万死の貧民に向って道を譲らざる無礼を責め、無慙なる馬丁は渠を溝際に投飛ばして命縷将に絶えなんとする時、馬車は揚々として立去れり。