Japanische Klassiker mit Furigana
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かこうとしょうり
賈后と小吏
田中 貢太郎
Lesen Sie 賈后と小吏 (かこうとしょうり) von 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 4.751 Zeichen · 10 Bildschirme
「どういたしまして」
青年はいい気もちになっていた。車は速かった。車の響は々として絶えなかった。途の曲りではぐらぐらと揺れた。そんな時には青年の体と老嫗の体とがぶっつかった。車の前が高くなって体がのけ反るようになるので、それを要心していると今度は前が低まってきて、前のめりになりそうになる処があった。そこは石橋の上であった。
車は平坦な甃石路を走りだした。石を甃いた平坦な路は郊外にはあまりないので、城内だろうかと思ったが何しろ扉が締っているので解らなかった。しかし、青年はそんなことにはあまり気をおかなかった。売卜の詞によって縋っている者がその縋っている者を悪いようにはしないという心頼みがあるからであった。
車の足が遅くなって曲り曲りしたかと思うとぴったり停まった。
「やっとまいりました」
老嫗の初めの詞と違ったきびきびした詞が聞えた。老嫗は起って昇降口の扉を開けてまず自個で降りた。
「さあ、どうか」
青年はどんな家だろうと思って老嫗の後からおりた。そこに花や鳥を彫刻した柱を丹や碧に塗った建物が並んでいて、その窓々には真珠の簾が垂れてあった。
「さあ、いらしてください」