Japanische Klassiker mit Furigana
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あかいステッキ
赤いステッキ
壺井 栄
Lesen Sie 赤いステッキ (あかいステッキ) von 壺井 栄 (つぼいさかえ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 11.482 Zeichen · 23 Bildschirme
だとすれば、お前はめくらなのだといい聞かせた方がよいのだろうか。どんなに、考えたり、ごまかしてみても、世間ではちゃんと克子をめくら扱いしているのだし、世間でなくてもお母さん自身の経験でもはっきりしている。いつであったか買物の帰りに遊びから戻ってくる克子に出会い、何気なくその行手に立ちふさがると、克子は真顔になってよけて通ろうとする。お母さんはしゃがんで克子を抱くようにして、だまって風呂敷の中の蜜柑を一つ取りだして、その手に持たせた。克子はそれを両手でさすり、
「おおけに」
と、礼をいう。他人にたいするしおらしさであり、これがあの誰にでも飛びかかっていったり、ときによっては噛みついたりする克子であろうかと思われるほどの素直さであった。
「克ちゃん」
お母さんはわざと内証声でささやいた。
「はーい」
「これどこのばあやん?」
克子はあごを持ちあげ、
「知らあん」
と、薄く笑いながら答えた。
「誰かわからんのか」
と、抱えこんだままささやいた。そうされたことで、克子はからだをかたくし、遠慮っぽく小さい声で、
「知らあん」
と、ふたたび答えた。
「ほんなら、お母さんは?」
「うちで毛糸あみよる」