Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
あかいかしゃ
赤い貨車
宮本 百合子
Lesen Sie 赤い貨車 (あかいかしゃ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 35.168 Zeichen · 71 Bildschirme
柵から空地へ入ったナースチャは思いがけず石の上にぱっとした若い女が立っているのでびっくりした。女は黄繻子の頭巻きで、下から黒い髪の束をこぼし、家の外羽目に打ちつけてあるT・A・スミルノワ、黒で書いた白エナメルの表札を見上げていた。ナースチャを認め、女は眼尻でちょっと笑った。その眼は少し日やけした顔のなかでやはり黒かった。いい外套を着ている。
長雨に降りこめられたのち、やっと人を見た感じで亢奮し、ナースチャは梯子を駈けのぼった。伯母のエナメル名札こそ屋根の下にうってあるが実際彼らの住んでいるのは二階の二間だけで、七家族が一つの木造二階建家屋に暮していた。階下は便所の臭いがひどくしていた。
黒油布張りの扉を開けるなり入ったナースチャは、首をのばし、
「ヘーイ、シューロチカ!」と呼びかけた口をわれ知らず手でおおった。女の客が来ていた。仕立物台の前の床几にかけ、伯母と話している。ナースチャは百姓娘らしく静かにそっと室内へすべりこんだ。
「まあ! 昨日来なさったんですか、なんて残念なことをしたんだろう。おかみさん、あなたになにも云いませんでしたか」
「いいえ」
ねずみ色と白のひだの多い服を着たその客は肩をすぼめた。