Japanische Klassiker mit Furigana
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あかいかしゃ
赤い貨車
宮本 百合子
Lesen Sie 赤い貨車 (あかいかしゃ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 35.168 Zeichen · 71 Bildschirme
「お前さんもここへ逃げこんだの?」
振返って見て、ナースチャは顔をあからめた。
アンナ・リヴォーヴナが自分の体からはなして洋傘の滴をきりながら立っているのであった。
「気違いみたいなお天気じゃないの」
ツィガンカが、目さとく彼女を見つけ、そばへよって来た。
「可愛いお方、占いしましょう、たった十カペイキ、占いさせて下さい」
アンナ・リヴォーヴナは手提袋をあけ、三カペイキの銅貨をツィガンカの黒い、爪だけ白い手の平にのせた。
ツィガンカはおじぎし、アーチの端へ去った。
「わたしは占いがこわい」
アンナ・リヴォーヴナがナースチャにささやいた。
「お前さんはどう?」
ナースチャはわからなかった。彼女はツィガンカに一ぺんも物乞いをされたことがなかった。そのくらい、見すぼらしい村の娘なのであった。
雨が小降りになって、アンナ・リヴォーヴナとナースチャはアーチの下を出た。
「お前さん急ぐの?」
「いいえ」
歩道の横で女が三人ならび、いまの夕立で柔くなった石の間の地面で草取りをはじめている。その前を通り過ぎた時、アンナ・リヴォーヴナが云った。
「お前さん、本当にモスクワへ出る気はないかい」