Japanische Klassiker mit Furigana
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あかいかしゃ
赤い貨車
宮本 百合子
Lesen Sie 赤い貨車 (あかいかしゃ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 35.168 Zeichen · 71 Bildschirme
「こんにちは」
「こんにちは」
行きすぎようとするリザ・セミョンノヴナを遮って、
「一分間おじゃまさせていただきます。あなたもここにお住いですか」
「ええ」
「それは結構。どうぞあなたの美しいお手を――わたしはオルロフ、経済をやっています」
リザ・セミョンノヴナは手の甲を接吻させ、自分の名は云わず室に入って勢よく戸を閉めた。
オルロフはこれまでアンナ・リヴォーヴナの食堂にあった家で一番いいスタンドも借りて自分の部屋へ据えた。彼は二つの葡萄酒コップを持っていた。葡萄酒コップは茶がかった緑色で台にグリグリ飾のついた玻璃であった。朝ナースチャが、彼の茶碗に茶を入れて運んで行くと、「バルザック」とレッテルの貼ってある白葡萄酒の瓶の横にそのコップがあって、オルロフ自身は山羊髯をなで、布張の椅子にいる。彼は目を離さずナースチャの顔を見て云った。
「ナースチャ、コップを洗ってくれるね」
「よろしい」
「もしお前がこわしたら、くびり殺すからそのつもりでいなさい」
「…………」
「わかったか」
「わかりました」
ナースチャは、ぷりぷりしてコップを盆にのせるのであったが、心のうちでは恐怖を感じた。