Japanische Klassiker mit Furigana
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あかいらくだ
赤い駱駝
梅崎 春生
Lesen Sie 赤い駱駝 (あかいらくだ) von 梅崎 春生 (うめざきはるお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 11.820 Zeichen · 24 Bildschirme
夕焼が灰色に沈んでしまうと、狐がおちたような気持になって、おれは洞窟の方に戻って行ったもんだが。
二見が応召する前、趣味で童話をかいていたということを、おれにもらしたのも、そんな夕焼の海岸でだった。二見も夕焼をながめに出てきたのかどうか、おれは知らない。海岸で何となく一緒になって、夕焼を見ながら、ちょっと立話をしたんだ。ふだん二見は、士官室でもあまり口を利かず、黙りこくっていたような男だったから、そんな自分の思い出を話す気になったのも、ふと夕焼の魔術にかかったのかも知れない。その日も南の方にむくむくと積乱雲が立っていて、それが夕焼にあかく染まっていたのだ。二見の弱々しく澄んだ眼にも、その色がうつっていた。
「あんな雲を見ると、おれもも一度童話かいて見たい気持になるんだ」
二見はつぶやくようにそう言った。そしてあわてたように視線をもどして、妙な笑いを浮べたのだ。そしてつけたすように、また呟いた。
「もちろん、もう書けもしないけれども」
「帰りたいだろうな。お前も」
何という気持でもなく、おれはそう答えた。すると二見はぎょっとしたように身体を硬くしたようだった。