Japanische Klassiker mit Furigana
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あかいらくだ
赤い駱駝
梅崎 春生
Lesen Sie 赤い駱駝 (あかいらくだ) von 梅崎 春生 (うめざきはるお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 11.820 Zeichen · 24 Bildschirme
今日も昨日も、二見少尉は一日中、例のバタバタバタの歩き方で、洞窟のなかや海岸をあるき廻っていた。それはおれも見ていたんだ。あいつの歩き方は遠くから見てもすぐ判るから、おれも気がついていた訳だ。奴さんも喜んでるだろうなと、その度ふと頭をかすめるだけで、とくべつに気も止めなかった。だっておれもおれのことで一ぱいだったし、組織が解体すれば皆一律に同じ状態になったわけだから、特別に二見に関心をはらうわけもなかったのだ。しかし従兵からそんな話をきくと、おれは直ぐ、敗戦の日に士官室から出て行くときの二見の顔を思い出した。それは何かを懸命に怺えているような、歪んだ顔付きだった。しかしあの時は、皆おなじような顔付きをしていたのかも知れないのだが。
二見の居室は洞窟を横に掘りこんだ袋小路みたいな場所だった。従兵に案内されてそこに入ると、二見は粗末な椅子に腰かけて、腕組みをしていた。あたりはきちんと片附いていて、他の居住区のように雑然としたところは全然なかった。おれが驚かされたのは、二見の顔がげっそり衰えていることだった。おれを見上げた二見の眼は、いつもの弱々しく怯えた感じではなくて、なにか灼けつくようなするどい眼の色をしていた。