Japanische Klassiker mit Furigana
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せきがいせんおとこ
赤外線男
海野 十三
Lesen Sie 赤外線男 (せきがいせんおとこ) von 海野 十三 (うんのじゅうざ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 38.889 Zeichen · 78 Bildschirme
れてしまった。ブランデーを与えて元気をつけさせ、さてどうしたのかと尋ねてみると、彼女が椅子にかけているとき、何者とも知れず急にギュッと身体を抱きすくめた者があったというのだ。目を瞠っているが、人影も見えない。それなのに、ヒシヒシと肉体の上に圧力がかかってくる。これは赤外線男に抱きつかれたんだと思うと急に恐ろしくなって、あとは無我夢中だったという。――何が幸になるか判らないもので、「赤外線男」に抱きつかれたダンサーというので、いままでアブれ勝ちだったのが急に流行っ児になって、シートがぐんぐん上へ昇っていった。
こうなると何事も、暗闇だからといって安心してするわけにはゆかなかった。何時赤外線男にアリアリと覗かれてしまうか知れなかったのである。
これに類する報告は、日一日と殖えていった。しかし赤外線男のすることが、この辺の程度なら、それは悪戯小僧又は軽い痴漢みたいなもので、迷惑ではあるけれど、大して恐ろしいものではない。いやひょいとすると、それ等の小事件は赤外線男に対する疑心暗鬼から出たことで、本当の赤外線男の仕業ではないのじゃないか。或いは赤外線男といわれるものも、深山理学士の錯覚であって始めから赤外線男なんて、居ないのじゃないか。