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Japanische Klassiker mit Furigana

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あかごうしくろうえもん

赤格子九郎右衛門

国枝 史郎

Lesen Sie 赤格子九郎右衛門 (あかごうしくろうえもん) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 14.484 Zeichen · 29 Bildschirme

Aozora Bunko

塁々と渚に群立っている巨大な無数の岩の上にも、月の光は滴って薄白い色におぼめいている。ギャーッと、一声月を掠めて、岩から海の方へ翔けて行ったのは、余りに明るい月の光に暁と間違えて眼を覚ました鴻鳥ででもあったろう。彼は静かに足を運び岩の一つへ上って行った。海から微風が吹いて来て、鬢の後れ毛を飜えし、身内の汗を拭ってくれる。

と、彼は急に足を止めた。

悲しげな少年の泣声が、何処か手近の岩蔭から細々と聞えて来たからである。彼は少なからず驚いて、声の来る方へ耳を傾け、暫くじっと聞き済ましたが、軈て小走りに走り出した。屏風のように突立っている平の岩をグルリと廻わると忽然と広い空地へ出た。そして其空地の中央に、十四五歳の少年が、縄で手足を厳重に縛られ、地面に転がされているのではないか。

月光に照らされた少年の端麗優美の容貌が、先ず九郎右衛門の心を曳いた。その次に彼を驚かせたのは、少年の着ている衣裳であった。その衣裳には柬埔寨国の王室の紋章が散らしてある。

曾て、九郎右衛門は柬埔寨へも、一二度往復したことがあって、可成り国語にも通じていた。

で彼は少年へ話しかけた。