Japanische Klassiker mit Furigana
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かけこみうったえ
走れメロス
Lesen Sie 走れメロス (かけこみうったえ) von Dazai Osamu (太宰 治) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 55.745 Zeichen · 112 Bildschirme
――僕は菊のまえであいつと議論したくねえんだ。はり合うなんて、いやなこった。――君、佐竹の自尊心の高さを考えると、僕はいつでもぞっとするよ」ビイルのコップを握ったまま、深い溜息をもらした。「けれども、あいつの画だけは正当に認めなければいけない」
私はぼんやりしていた。だんだん薄暗くなって色々の灯でいろどられてゆく上野広小路の雑沓の様子を見おろしていたのである。そうして馬場のひとりごととは千里万里もかけはなれた、つまらぬ感傷にとりつかれていた。「東京だなあ」というたったそれだけの言葉の感傷に。
ところが、それから五六日して、上野動物園で貘の夫婦をあらたに購入したという話を新聞で読み、ふとその貘を見たくなって学校の授業がすんでから、動物園に出かけていったのであるが、そのとき、水禽の大鉄傘ちかくのベンチに腰かけてスケッチブックへ何やらかいている佐竹を見てしまったのである。しかたなく傍へ寄っていって、軽く肩をたたいた。
「ああ」と軽くうめいて、ゆっくり私のほうへ頸をねじむけた。「あなたですか。びっくりしましたよ。ここへお坐りなさい。いま、この仕事を大急ぎで片づけてしまいますから、それまで鳥渡、待っていて下さいね。