Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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えつねん

越年

岡本 かの子

Lesen Sie 越年 (えつねん) von 岡本 かの子 (おかもとかのこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 10.003 Zeichen · 21 Bildschirme

Aozora Bunko

どうも堂島らしかった。二人は泳ぐように手を前へ出してその車の後を追ったが、バックグラスに透けて見えたのは僅かに乗客のソフト帽だけだった。

それから二人は再び堂島探しに望みをつないで暮れの銀座の夜を縫って歩いた。事変下の緊縮した歳暮はそれだけに成るべく無駄を省いて、より効果的にしようとする人々の切羽詰まったような気分が街に籠って、銀ブラする人も、裏街を飲んで歩く青年たちにも、こつんとした感じが加わった。それらの人を分けて堂島を探す加奈江と明子は反撥のようなものを心身に受けて余計に疲れを感じた。

「歳の瀬の忙しいとき夜ぐらいは家にいて手伝って呉れてもいいのに」

加奈江の母親も明子の母親も愚痴を滾した。

加奈江も明子も、まだあの事件を母親に打ちあけてないことを今更、気づいた。しかしその復讐のために堂島を探して銀座に出るなどと話したら、直に足止めを食うに決まっている――加奈江も明子も口に出さなかった。その代り「年内と言っても後四日、その間だけ我慢して家にいましょう」二人は致し方のないことだと諦めて新年を迎える家の準備にいそしんだ。来るべき新年は堂島を見つけて出来るだけの仕返しをしてやる――そういう覚悟が別に加わって近ごろになく気持ちが張り続けていた