Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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えつねん

越年

岡本 かの子

Lesen Sie 越年 (えつねん) von 岡本 かの子 (おかもとかのこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 10.003 Zeichen · 21 Bildschirme

Aozora Bunko

手紙の表には「ある男より」と書いてあるだけで加奈江が不審に思って開いてみると意外にも堂島からであった。

この手紙は今までの事柄の返事のつもりで書きます。僕は自分で言うのもおかしいけれど、はっきりしていると思う。現在、あの拓殖会社が煮え切らぬ存在で、今度の社が軍需に専念である点が僕の去就を決した。しかし私に割り切れないものがあの社を去るに当って一つあった。それは貴女に対する私の気持でした。社を辞めるとなれば殆ど貴女には逢えなくなる。その前に僕の気持を打ち明けて、どうか同情して貰いたいとあせった。しかし僕は令嬢というものに対してはどうしても感情的なことが言い出せない性質です。だから遂々ボーナスを貰って社を辞めようとした最後の日まで来てしまったのです。いよいよ、言うことすら出来ないのか。思い切って打ち明けたところで、断られたらどういうことになる。此方はすごすごと思いを残して引下り貴女は僕のことなぞ忘れてしまうだけだ。いっそ喧嘩でもしたらどうか。或いは憎むことによって僕を長く忘れないかも知れない。僕もきっかり決裂した感じで気持をそらすことが出来よう。そんな自分勝手な考えしか切羽詰って来ると浮びませんでした。