Japanische Klassiker mit Furigana
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えつねん
越年
岡本 かの子
Lesen Sie 越年 (えつねん) von 岡本 かの子 (おかもとかのこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 10.003 Zeichen · 21 Bildschirme
明子も顰めた顔を加奈江の方に突き出して意見を述べた。
二人の憤慨とは反対に加奈江はへたへたと自分の椅子に腰かけて息をついた。今となっては容易く仕返しの出来難い口惜しさが、固い鉄の棒のようになって胸に突っ張った苦しさだった。
加奈江は昼飯の時間が来ても、明子に注いで貰ったお茶を飲んだだけで、持参した弁当も食べなかった。
「どうするつもり」と明子が心配して訊ねると
「堂島のいた机の辺りの人に様子を訊いて来る」と言って加奈江はしおしおと立って行った。
拓殖会社の大事務室には卓が一見縦横乱雑に並び、帳面立ての上にまで帰航した各船舶から寄せられた多数の複雑な報告書が堆く載っている。四隅に置いたストーヴの暖かさで三十数名の男の社員達は一様に上衣を脱いで、シャツの袖口をまくり上げ、年内の書類及び帳簿調べに忙がしかった。加奈江はその卓の間をすり抜けて堂島が嘗つて向っていた卓の前へ行った。その卓の右隣りが山岸という堂島とよく連れ立って帰って行く青年だった。
加奈江は早速、彼に訊いてみた。
「堂島さんが社を辞めたってね」
「ああそうか、道理で今日来なかったんだな。前々から辞める辞めると言ってたよ。